一度ぎりだから真なのだ。一度ぎりだから美なのだ。
東洋芸術のよさは、この一度ぎりにある。
日本画の一線も一度ぎり、日本の書も一筆ぎり、
彫刻も一刀ぎり。一度ぎりとはとりかえしのつかないものを言う。
だからわたしはみめいこんとんに起きる。一度ぎりというものが
腹のどまんなかにでんと座っていなければならぬ。
腹できているということは、一度ぎりというものを腹中に持っている事を言う。
詩がやってくるのも一度ぎりである。だから天地清涼の暁天を拝し待つのである。
一度ぎり!これが仏陀世尊の教えである。