ルーツ

1週間だけの高校生活

1976年~1週間だけの高校生活

中学の卒業をひかえ担任の大反対を押し切り、
水産高校に入学。しかし上級生の毎朝理不尽なシメに体が異常をきたし、体調不良に。

朝飯も食えず病院にいくと、盲腸の診断。
将来船乗りを目指していた私は、即座に手術を選択!

2週間たって学校に戻ると、数学の授業の時間、先生の言葉がギリシャ語のように聞こえ、「こりゃだめじゃ」全く授業についていけない。
「わからん、わからん」今まで感じたことのない、不安。

気がつくと、体の不調を理由に不登校になっていった。
夢を持ち受験した学校でしたが、わずか1ヶ月で諦めてしまう結果になり、自身の不甲斐無さに心底がっかりしました。

だから私は、誰かしらに「諦めるな!続けろ!」と言う資格は全くありません。

このように自身が大人への入り口の最初に失ってしまったのですから。

不登校は5月、6月、7月と続いていきました。
その間、家の中はドンドン暗くなっていき、兄や姉も心配して家にちょくちょく帰ってくるようになっていました。

友人もちょくちょく訪ねてきていましたが、私は全く表に出ることが苦痛になっていました。
まさにひきこもり状態になっていったのです。

幼いころから言われていた道元坊主の姿も、小学校で児童会長、中学校で生徒会長や野球部キャプテンで他人をひっぱりながら、ひょうきん者の姿も消え失せて行きました。
先が見えない暗いトンネルの中に自ら入っていったのでした。

イヤフォンから聞こえる深夜放送が自分の楽しみになってきた頃、
あるラジオドラマ番組が私の心を捕らえました。
それが少年サンデーに連載されていたボクシング漫画の「がんばれ元気」でした 。

話の内容は知っていたのに、どんどん引き込まれていきました。
朝方の5時前に終わる頃には、自分の心の中が真っ暗闇だったトンネルの先に少し光が灯った気になり、

「この時何かが自分の中に目覚めました」
私の場合は、こんな小さな出来事からでした。

まさに天からの声?が自分の中に聞こえたからいいものの、そのひらめきさえ気がつかない人達もきっと多くいると今は思います。

ともあれ、私は、「このままじゃだめだ」という内なる声に、
少しずつではありましたが気がついていきました。

するとある夜の事、深夜に目を覚ますと、両親の話す声が聞こえてきます・・・

「なんであんな風になったんかね~」
「あんなに活発やった幸造が・・・」
「小児がんでもかかったんかね~」
か細いおふくろの声が聞こえてきました。

それまで
大きな病院で検査しても何も異常なし。
最後には、お払いのようなところにも連れて行かれ、
拝み太鼓をたたき果物を海に捨て・・・何の効き目もなし!

我子を思う親のせつなさ。

私は、ベッドの中で泣きました。
自分が情けないのと親の気持ちをはじめてその時に知ったのでした。

「かあちゃん、父ちゃん、俺は病気なんかじゃない。ごめんね・・・ごめんね」

人は、追いつめられると、どちらかに心のハリが振れていきます。
私の場合は、復活の方に振れました。

しかし・・・まだ15歳の子供。自分から立ち直るような強さもありませんでした。

甘えという二文字がよく似合う、情けない野郎でした。

つづく

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