子供たちが成長し、自分の時間を持てるようになったときも
おふくろは、ずっと働く事をやめませんでした。
とても陽気な性格も、やはり年には勝てないのか
後に病気になり始めたころ、
私は「なにが一番辛いか」?「何が怖いか」?と聞いた事がありました。
おふくろは、一言
「お金がないこと。貧乏が一番怖い」と言いました。
再婚をしていましたが、やはりそうだよなぁっと思いました。
人の人生は自分が思った通りになるとは言われていますがおそらく、貧しくなりたいとは誰も思わないでしょう。
しかし現実には、私のおふくろのように、歳をとってもお金の恐怖が抜けない人はやはりいるのではないでしょうか?
そんな恐怖を抱えながら、歳を重ねていかないといけない現状は、
自然とすべての恐怖から逃れようとして、
自分から脳を破壊していきました。
それは、夜中に急激な動機から始まっていき、検査を受けると、どこも異常はない。
しかし数日すると、また夜中に呼び出しが・・・
ストレスという名の、自分を追い込んでいく体の仕組みに予防線のはれない心は、どんどん自分の病気探しを始めていくようになります。
病名がつくまで、あちこちの病院をめぐり、
入退院を繰り返し、」
私が、おかしいな?と思い始めたころは、」
かなり精神的にまいっていました。
こうなると、周りの人に迷惑がかかってきます。
辛い決断でしたが、もし治るのならと思い、
一番避けたかった、精神科医に相談するようになります。
おふくろに、「○○病院に入院しようか」というと、
「お前は、私をキチ○イ病院に入れるんか!バカタレ。いやじゃ」
となじられましたが、
強制的に決行しました。
なんと冷たい息子と思われても、それしか選択出来ませんでした。
私の家庭は、私が家を離れていくと同じころに、
バラバラになっていった家庭なのですが
そのバラバラになっていった後も、いろいろな出来事で、
何度か寄り添い、また離れ、各自がそれぞれ独自な考えのもと大人になっていきます。
3番目に生れてきた私は、おそらくですが、
自分の血筋の強さを、後に残すために生まれているような気がしています。
今は仏壇に手を合わせることしか出来ない、
おふくろの為に生前作った唄が「小さな手」
「小さな手」
白いカベをじっと 見つめる すんだ瞳
呼びかける声に少し俺を見る
長く子供のためだけに生きた女性(ひと)
今はその子供のことさえ わからなくなったね
どうしてなんて言えないね あなたは自分を信じた人
細くて小さくなった 腕と手
母としての 優しさとぬくもりは
子供のころと 何も変わってないね
何度も何度もある部分を書き直したけど、
結局一番最初の詩に落ち着いた。
ある部分とは
長く子供のためだけに生きた女性(ひと)
今はその子供のことさえ わからなくなったね
と言う歌詞
あまりにもリアルな言葉なので、もう少しオブラートに包み込める言葉を探しました。
そして、何度も何度も書きかえ、唄いましたが
やはり、最初の思いがきれいな言葉を吹き飛ばしていきました。
家族のことを、忘れていく病気のことを、
強烈に私に教えてくれた。これも、親の務めなのか?
歳をとると言う事は、誰にも避けられない
それを、見事なまでに見せつけてくれました。
やはり親は偉大だなって思う。